本年度、三国丘高等学校は創立130周年という節目の年を迎えました。これを記念し、令和7年10月24日(金)、創立130周年記念事業実行委員会の主催により、フェニーチェ堺にて記念式典が、またホテル アゴーラ リージェンシー大阪堺にて記念祝賀会が、盛大に執り行われました。
爽やかな秋晴れの当日は、厳かな中にも温かみのある催しとなり、多くの来賓や関係者が本校の歴史と伝統をともに祝い、次代への想いを新たにする貴重な一日となりました。
本稿では、PTA役員および保護者の視点から、当日の様子をご紹介させていただきます。

創立130周年 記念式典
会場に足を踏み入れると、旧友との再会を喜び合う同窓生の笑顔、そして特別な一日に胸を躍らせる生徒たちの姿があふれていました。世代を超えて集まった皆さんの表情からは、この日を心待ちにしていた思いが伝わってきました。





第Ⅰ部 式典


式典参加者は、来賓・招待・同窓会・保護者・生徒・先生方を含め総勢1358名!れもんえいみさん(高校64回)の明るく華やかな司会により、田中教頭先生の開式の辞をもって第Ⅰ部が幕を開けました。
最初に登壇された仲林実行委員長兼同窓会長からは、寄付金への感謝の言葉とともに、これまで卒業していった延べ4万人を超える同窓生の歩みを「一枚の大きなタペストリー」にたとえ、今後も新たな歴史を紡いでいってほしいとの温かなメッセージが寄せられました。
続いての学校長式辞では、創立100周年当時の校長先生が掲げられた「過去を振り返り、未来を創造する」というテーマを高く評価されました。そのうえで、次の30年に向けては「三国丘高校を愛する全ての人が、一人一人の生徒を我が子だと思って支えるという思想を共有し、守り育てる30年にしてほしい」と、実に藤井校長先生らしい温かさと揺るぎない決意が語られました。
その後、ご多忙の中ご臨席くださった日本サッカー協会相談役の川淵三郎さん(高校7回)をはじめとするご来賓の方々の紹介、主催者紹介、水野大阪府教育委員会教育長による祝辞が続きました。
続いて現PTA会長の長瀬陽子さんより記念品の贈呈、また、多くの改修工事への寄与に対して吉村大阪府知事から感謝状が届き、水野教育長によって代読されました。
式の締めくくりには、就任間もない第147代生徒会長が登壇し、校歌の一節「使命は重し 三丘生」を力強く引用しながら、「三丘スピリット」を継承していく決意を高らかに宣言されました。
閉式を迎えるかと思われたその時——舞台上にひっそりと用意されていたくす玉が静かに降りてきました!厳粛な空気が一転、会場は驚きと歓声に包まれます。このくす玉は高校7回の有志の方々からの贈り物で、校長先生・教育長・同窓会長・PTA会長・生徒会長の手により見事に割られました。大きな拍手と笑顔に満ちる中、田中教頭先生の閉式の辞をもって、第Ⅰ部は盛会のうちに終了しました。
くす玉の発案者は、この日は残念ながら欠席でした。無事にくす玉が割れてほっとしました。式に華を添えられてよかったです。
教育長からは、「三国丘高校は伝統的な教育に加え、先進的な学びを融合させた真のグローバルリーダーの育成を目指している学校です」とご紹介いただきました。
多彩な分野で輝く先輩方に続き、これからどんな素敵な人材がこの三国丘から羽ばたいていくのか——その未来が今からとても楽しみです。
川淵さんは休憩時間にたくさんの生徒と写真を撮ってくださったようです。特に男子やサッカー部が殺到していたそうですが、快く対応して下さったと子どもたちは喜んでいました。
第Ⅱ部 記念講演 医学のレジリエンス~未来への挑戦と貢献~
高校26回卒業生で、大阪大学名誉教授の澤芳樹先生にご講演いただきました。
先生は高校1年までは工学部を志望されていましたが、高校2年の時に憧れていた医師である従兄弟が若くして亡くなられたことをきっかけに、医師の道を志されたそうです。医師の仕事は、人との関わりの中で人の役に立てる仕事であると考え、その道を選ばれました。
また、先生は恩師である川島康生先生の言葉を紹介してくださいました。
「人生最高の喜びは、生涯の仕事を成し遂げるために努力し続けることにある」
生徒の皆さんには、自らの可能性を信じ、人生を懸けるに値する仕事を早い段階で見つけ、前向きに努力を重ねてほしいと願っています。
澤先生のお話は、大人である私たちの心にも響くものでした。
卒業生が様々な分野で活躍されているお話は、在校生たちにとっても自分の未来を思い描くきっかけになったのではないでしょうか。
医療のことはわからない私にも、とてもわかりやすくて興味深い、引き込まれる話でした。
仕事を成し遂げる人の条件「GRIT」を教わりました。
Guts:困難に挑戦する
Resilience:しなやかな回復力
Initiative:自らの意思でやる
Tenacity:何年でも続ける
これらがinnovation(技術革新)に繋がるとのこと。
「迷ったら難しい方を選べ」
成功者の力強いお言葉には説得力があり、心打たれました。
第Ⅲ部 記念公演
記念式典の第Ⅲ部として、大阪交響楽団による記念演奏が行われました。弦楽合奏団の団員や吹奏楽部の部員たちも加わり、プロと生徒が共演する特別なステージが実現しました。
演奏された曲目は以下の通りです:
- モーツァルト《フィガロの結婚》序曲
- ビゼー《カルメン》より
- トレアドール ・間奏曲・アラゴネーズ・ジプシーの踊り
- チャイコフスキー《弦楽セレナーデ》よりワルツ
- エルガー《威風堂々》
- 校歌(全員起立・斉唱)
🎶 演奏の途中には、各学年から1名ずつ選ばれた“勇者”たちが、指揮者体験に挑戦。タクトを手に、全身を使って音楽を表現するその姿は、まさに個性の輝きそのものでした。ある生徒はダイナミックな動きで情熱的に、またある生徒は繊細な手振りで優雅に——それぞれのスタイルでオーケストラを導き、会場は大きな拍手と笑顔に包まれました。
奏者の方々も足踏みで応え、温かくユーモラスな雰囲気の中、音楽の楽しさと奥深さを共有する時間となりました。指揮者の方による解説も、クラシック音楽の魅力をわかりやすく伝えてくださり、生徒たちの興味を引きつけていました。
最後は、会場全員が起立して校歌を斉唱。音楽とともに、母校への誇りと感謝の気持ちを胸に刻む、感動的なフィナーレとなりました。
共演した弦楽合奏団と吹奏楽部の生徒は、当日のリハーサルのため2限目から公欠扱いとなりました。文化系クラブで公欠届を提出する機会はめったになく、当該の生徒たちはどこか誇らしげな様子だったようです。
「威風堂々」を演奏した後、校歌も演奏させていただきましたが、舞台から見渡すと、校歌を歌っている人たちがびっくりするぐらいみんな涙ぐんでいるのが見えました。
指揮者体験で、生徒の指揮に楽団の演奏がピッタリと合っていたのがスゴイ!
めったにない貴重な体験ですよね。


全員が立ち上がり、声を合わせて歌う校歌の迫力はまさに鳥肌もの。あの瞬間、会場がひとつになったようでした。卒業生でない保護者も自然と輪の中に溶け込み、まるで家族のような温かさに包まれて、夢心地のまま閉幕になりました。
感動して涙が出ました。150周年の式典まで元気に参加できるのを楽しみにしています。
創立130周年 記念祝賀会
記念式典の感動、感激冷めやらぬ中、祝賀会の会場であるアゴーラリージェンシー大阪堺ロイヤルホールに到着すると、長尾和奏さん(78期)筆の題字が、凛々しくも温かさを醸し出していました。早くからご到着されるゲストに向けて、お抹茶席が用意され、祝賀会に華やぎが添えられていて、ニッキのお菓子に心もほっこりしながらお話に花が咲いていました。開場を知らせるチェロ・オーボエ・ピアノよる生演奏が始まると、ロイヤルホールに三丘同窓生の皆さんが続々と入場され、会場は華やかな雰囲気に包まれました。







後で、校長先生も労われていましたが、式典部会長で卒業生でもある田中教頭先生がロビーに到着されると、「お疲れ様でした」の拍手が自然と起こりました。
お抹茶席でのお茶は、京都宇治上林春松製「三日月の白」。このお茶は茶道表千家家元御好のものを提供くださったとのことです。
開式・130周年記念事業実行委員長挨拶・校長挨拶・来賓紹介・乾杯
来賓および参加者着席後、司会の西田芙美さん(高校34回)から、伊石昂平さん(チェリスト:高校65回)、荒木良太さん(オーボイスト:高校68回)、遠藤康子さん(ピアニスト:高校44回)が紹介され、慶祝の会にふさわしい華やかで温かみのある曲目が奏でられました。素晴らしい音色の余韻に浸っている中、この日何度もご登壇いただいた、130周年記念事業実行委員長 仲林さんと藤井校長先生によるご挨拶、来賓紹介後、今西三丘同窓会副会長による乾杯のご発声で着席スタイルによるビュッフェをいただき歓談となりました。
校長先生発案のどら焼きの焼き印「We love MIKUNI !」に倣い、校長先生の「We love!」の掛け声に続いて、会場全体が力強く「MIKUNI!」と応える新しいエールが誕生。ホールは歓声に包まれ、大きな一体感が広がりました。みんなが三国丘高校を心から愛している証ですね。
仲林委員長の挨拶の中で、130周年は先人各位の尽力と貢献の上に、教職員の皆様の努力と生徒一人一人の頑張りの結集であるとの言葉を聞き、胸が熱くなりました。
オーボエ奏者の荒木良太さん、実は10年前の式典での関西フィルハーモニー管弦楽団の演奏中の指揮者体験をされていたそうです!






お席は、来賓、一連の記念事業にご尽力いただいた皆さん、卒業回、PTAなど14テーブルに分かれており、川淵三郎さんが奥様と着座されていた舞台正面のテーブルはじめ、懐かしい、お世話になった方々にご挨拶、歓談に回られる姿があちらこちらで見受けられました。お食事もお祝いの席にふさわしい多種多彩なお料理がお皿いっぱいにサーブされ、召し上がっておられました。
舞台近くのテーブルには、川淵さんが奥様と座られていたのですが、記念式典と同様、ご挨拶に来られるゲストが途切れることがありませんでした。


130周年記念映像上映 文武両道の先駆者たち~130年の今を生きる~
宴たけなわ、司会者の「皆さまご着席ください」のアナウンス後、場内は一転。祝賀会部会が何度も内容を構想、撮影に奔走し、ギリギリのタイミングまで編集し完成した、130周年記念映像『文武両道の先駆者たち~130年の今を生きる~』がスクリーンいっぱいに、丸山芳美祝賀会部会長(高校25回)のナレーションで上映されました。
記念映像のトップは、文化勲章を授与された川淵三郎さん。幼少期から三国丘高校在籍時の勇姿が紹介され、奥様の康子さんへの感謝の言葉が紹介されていました。
続いて、川淵さんと同じく超高校級の卒業生として紹介されたのは、飯端壽昭さん(三丘体育会相談役:高校15回)。社会人選手が多い中、大学生ながらハンドボール日本代表に選出されました。「国際ハンドボール連盟の方に『遠く極東の地、日本に飯端あり』と言わしめた―」というナレーションが流れると、大きな拍手が沸き起こりました。
そして、土井隆雄宇宙飛行士(高校25回)の背中を追いかけ、JAXA宇宙開発に携わっている五味篤大さん(高校70回)と永田智季さん(高校70回)、アナウンサーとして活躍中の新本穂乃佳さん(高校72回)と小川実桜さん(高校72回)からのメッセージの紹介。現役医学生でもある船田愛子さん(高校75回)の第71回角川短歌賞受賞のニュース、山中駿さん(高校73回)のFISUワールドユニバーシティゲームズ世界第7位のワールド記録、記念キーホルダーの題字を書いている時の長尾和奏さん(78期)の様子が次々に映し出され、感嘆の声があちこちから聞こえます。
この映像を作成、編集されたスペシャルサンクスのエンドロールには卒業生だけでなく、教員の皆さんの名前も記されていました。
歴代の先輩方の活躍はもちろん、現役三丘生78期生を含む、70回台の活躍を織り交ぜた映像に、来る十年、二十年後の母校のさらなる発展を確信したように感じました。
川淵三郎氏スピーチ 「夢があるから強くなる」
記念映像ラストにも登場した「夢があるから強くなる」の思いに満ちた、川淵三郎さんによるスピーチが始まりました。フェニーチェ堺での澤先生の講演内容にも触れながら、ご自身の歩まれてきた信念、澤先生が紹介された「GRIT」の要素である“G=Guts”、そして三国丘高校での高校生活や出会いの軌跡について、約30分間、着席されることなく、お話しいただきました。90歳という年齢を感じさせないお話を映像でなく、直接拝聴できたことに深い感激を覚えました。


校歌斉唱・謝辞・閉会
閉会にあたり、祝賀会ではオーボエ・ピアノの生演奏に合わせて校歌が斉唱され、感動のあまり涙ぐむ方の姿も見られました。涙ぐみながら校歌を歌う姿をこの日は二度も目にすることになり、会場は温かい感動に包まれていました。現PTA会長でもある長瀬陽子記念事業副委員長の謝辞をもって、祝賀会および記念事業が幕を閉じました。


一保護者として申込み、受付で一瞬ドキドキしましたが、PTAの役員の方や先生方とお話する中でいろいろな情報交換ができ、華麗な卒業生の方々のスピーチ、映像、美味しいお食事をいただき、有意義なひとときを過ごさせていただきました。


三国丘高校創立130周年のその年に我が子が在籍し、一連の行事に参加し取材の機会をいただいたことに心より感謝申し上げます。準備、構想から記念行事当日に至るまでに数えきれないほどの同窓生の方々と会議の中で顔を合わせ、在校当時の懐かしい思い出を聴かせていただいたり、卒業後も足繁く母校、三丘会館に赴いて語らい、笑いあってこられたことを目にしました。我が子がこの先、皆さんの一員として談笑することを楽しみにしております。三国丘高校の益々のご発展をお祈りいたします。誠におめでとうございます。
*創立130周年記念式典・祝賀会関連については是非以下もご覧ください
【校長ブログ】
●みなさんの三丘愛がつくってくれた創立130周年記念式典・祝賀会が盛大に開催されました
●世界にひとつだけ!お守りみたいなキーホルダー
【三丘同窓会】
●創立130周年記念式典を開催

