はじめに
令和6年8月24日(土)13時30分より 第1部「スクールカウンセラーによる講演会」、14時10分より 第2部「卒業生とその保護者を囲んでの座談会」を三国丘高校新三丘会館で開催いたしました。
参加者はさくら連絡網で募集の保護者74名、教職員5名(校長先生、上島先生、松永先生、中村先生、中野先生)、卒業生とその保護者の方々11名、スクールカウンセラー中村仁美先生を含む91名でした。
PTA会員にとって「高校生の子供たちが心身ともに健やかに、学校生活を送るためには、保護者としてどのように子育てにかかわっていけばよいのか」が現在の最大の関心事ではないかとの声が多くあがり、会員同士が少しでも話ができる機会をもうけ、交流をはかることを目的に開催いたしました。
第1部
「スクールカウンセラーによる講演会」
本校のスクールカウンセラーとして、多くの生徒や教職員の皆さんの相談に乗っていただいている中村仁美先生にご講演いただきました。
講演の中で、カウンセリングの手法として、
- 子育てだけに限らず、人付き合いをする上での他人との関わり方において「保護者(教職員)自身のパーソナリティ・生徒自身のパーソナリティを知る」ことが肝要である。
- 個々人のパーソナリティーは(精神・思考・感情・感覚)の4つに大別され、それらを持ち合わせつつ強弱 の変化により、ひとりの人格の中に、10人程度の「自分」が存在する。それを踏まえた上での相手との関 わり方を模索する。
- 個人のパーソナリティーは成長段階により刻々と変化していく
というお話を、具体的な事例とともにご説明いただきました。
スクールカウンセラー中村仁美先生のおすすめ参考文献
幸福人フー
坂口恭平(著)
〜 僕の妻は「しあわせ」のお手本・不安はないけど期待もしない人 世にも珍しい「幸福人」の生態に迫ります 〜
双極性障害であることを公言しながら、建築家であり文筆家、音楽家であり画家とマルチな分野で活躍されている坂口恭平さん。理想とパッションをベースに常に「頑張って」生きる恭平さんが、パートナーさんについて観察&分析した本です。理想と等身大(ありのまま)のテーマで揺れる生徒さんに、よくおすすめする本ですが、とても読みやすいので、全ての方にオススメです。
ヤマ・二ヤマ
(ヨガの10の教え)
デボラ・アデル (著)
ヨガ哲学の本です。 古い本になりますが、今の日常や人間関係でもすぐに使える、時代や国を超えて残ってきたものならではの、 生きていく上で大切な視点がたくさん書かれています。 外側の世界(様々な情報や他者からの評価)の影響に揺さぶられないためにも、今の時代にこそ、内側を見つめるために必要な視点が書かれています。
ピダハン
〜言語本能を超える文化と世界観〜
ダニエル・L・エヴェレット (著)
アマゾンの奥地に暮らす少数民族の集落でフィールドワークした言語学者の方の本。 「なぜこれが子育てや心に関係が?!」と思いきや、言語と心理学は実は繋がっています。(言葉 があるから→考える→考えるから悩む)私たちの悩みのほとんどは対人関係がベースと言われていますが、 自分自身の価値観(=欲求がどこへ向くのか)を知って、それが「当たり前」ではないこと「=自分と他者の価値観は違う」に気づいていくプロセスが大切と気付かせてくれる本です。
サイコシンセンスとは何か
平松 園枝(著)
今回、講演会の中でお伝えした4つのチャンネルは、ユング心理学他様々なセラピーツールをベースにしながらも、それらを実際の現場で使えるように融合して、これまでのカウンセリング現場でフィールドワークしながら体系にしてきたオリジナルメソッドになります。この本は、「無意識の人格の多様性とそのセラピー」の意味合いがわかりやすく書かれています。「もっと深めたい」「無意識の人格やそのセラピーに 興味がある」という方にお勧めです。
第2部
「卒業生とその保護者を囲んでの座談会」
本校の76期・75期を中心とした卒業生7名とPTA委員経験者、当文化厚生委員の知りあいの方で本校を卒業された方の保護者4名の合計11名をプレゼンターにお迎えし、1グループ8名から10名の班で7班にわかれて座談会をおこないました。
1年生27名、2年生14名、3年生10名の保護者の方にご参加いただきました。さくら連絡網でどんなことを取り上げてほしいのか事前にアンケートを取りました。 学年別の班分けでどのグループにも卒業生が必ず入っていただくようにしました。
事前アンケートの結果
1年生
高校生活にもようやく慣れ、忙しい日々の生活で勉強と部活の両立に悩んでいる様子にどのように寄り添っていけばよいのか
2年生
文理選択もすみ、勉強と部活の両立はもちろん、高校卒業後の進路選びにも関心が向き始めている
3年生
受験に向けての半年間、どのようなサポートが必要か、また大学進学後の生活についてより具体的に知りたい
プレゼンターでご協力いただいた方はどなたも質問に誠実にお応えいただき、40分間という限られた時間でしたが、参加者はおおむねご満足頂いたご様子でした。
また、お開きになった後も個人的に質問にお答えいただくなど熱心にやり取りをしていただいた班もありました。
イベント実施後のアンケートより抜粋
講演会について
- スクールカウンセラーの方の存在は把握していましたが、初めてお話を聞き、勉強になりました。 今後、娘が辛くなったりした時は相談してみたいなぁと感じました。
- こういった機会がないと聞けない講座なので、素敵な企画に感謝いたします。 ありがとうございました。
- SC の先生の話は普段聞けない内容なのでとても良かったのですが、少し難しく、理解しながら講演を聴くと内容に頭がついていけてない感じでした。SCの先生自身も「思考せずに聞いてください」とおっしゃったのでその後は楽に聴けました。
- どうすればもっと子どもに話を聞いて もらえるか…、子どもが聞く状態にないのに「あーしろ、 こーしろ」とうるさく言っても仕方がない ということが、すとんと心に落ちてきました。
座談会について
- 進行、内容、人数、グループ分け、時間設定など総合的に適度で良かったと思います。 それよりも OB の方と直接お話しが出来て良かったです。 とても丁寧に質問に答えてくれた卒業生さんに深く感謝いたします。
- 同学年の保護者の方を集めていただき、とても参考になりました。
- 卒業生のお嬢さんや先輩保護者の方が私たちの質問に的確に答えてくださり、とても参考になりまし た。親子の何気ない対話が、子供にとって心をリフレッシュできるとても大切な時間なんだと改めて認識しました。これから、娘との関わりで取り入れていきたいと思います。
- 卒業生の高校生活や大学受験、生活を聞かせて頂きありがとうございました。グループでお話を聞けてよかったです。
- 先輩方の意見を子どもにも伝え、自分でも頑張れると思ったようです。今回たまたま文系得意、 理系苦手な方のお話で、自分の子どもの特性と似ていたので参考になりました。
おわりに
当企画を開催するにあたり、多くの方のご協力をいただきました。
スクールカウンセラーの中村仁美先生をはじめ、参加者の皆様、藤井校長先生、上島先生、辻先生、松永先生、中村先生、中野先生、事前に学年通信に企画の紹介を載せていただいた1年学年主任の辻本先生、2年学年主任の北川先生、中島事務部長、座談会にご協力いただいた卒業生、保護者の皆様、同窓会事務局の皆様、PTA役員、広報交流委員会、教育環境委員会の皆様のお力添えのおかげで無事、開催することができましたこと、心より感謝申し上げます。
文化厚生委員 一同
~広報から参加しました~
中村先生の講演会では親子関係だけでなく、周囲の人との繋がり方について新たな捉え方を知ることができ、発見の連続でした。また、座談会では、先輩方が進学先で新たな経験を積んで成長されている姿を垣間見ることができ、自身の経験を惜しみなく、ひとつひとつ丁寧に話されている姿が印象的でした。先輩方の話を聞き漏らすまいと体をのり出して聞いている方や、真剣にメモをとる方、時間がきても質疑応答が続いていたグループもあるなど、会場の熱気は外の暑さに負けないくらいでした。
校長先生のブログにも当日の記事が出ております。こちらもぜひご覧ください。
〈保護者のみなさん必読〉PTA新企画SC講演会+卒業生との交流会 大成功! – 校長ブログ (osaka-c.ed.jp)